政府が2026年までに約束手形を廃止すると宣言した件について、内閣の政策会議資料を基に、疑問点・矛盾点を検証してみました。
また、今回の政策について世間の声はどうかをツイッター上で上がっている声を見てみました。
まとめには、『こういう狙いがあるのかな?』という、予測もしています。
が、少し飛躍しすぎているのでご参考程度に見てください。
約束手形の廃止について世間の見方は賛否両論(ツイッターより)
業界・立場の違い、どこまで深く考えているかによって賛否両論様々な意見がありました。
・廃止“賛成派”意見
↑稀なパターンの支払ですが、無くはないですよね。
↑でんさい化が完了している業界、もしくは若い世代が多く紙文化が少ない業界の方でしょうか?
現状全国的には、約束手形とでんさいは半々程度使用されています。(銀行員談)
約束手形が既に無い業界は混乱無く済みそうでいいですね。
・廃止“反対派”意見
↑歴史の長い約束手形文化が廃止となるのはさみしいですね。
ハンコもですが、時代の変わり目なんでしょうね。
↑全くその通り。
今回のこの政策は『商売の資金の動き』という森を見ずに、『約束手形を受取と資金化に時間がかかる』という、木どころか枝の部分を見て、“約束手形はケシカラン!!”と言っているように思います。
その他にも・・・
個人的には小切手については廃止はないと思います。
今回は約束手形の廃止についての記事のため、別記事にてご説明します。
約束手形廃止の真実と疑問点・矛盾点
まずは、今回の発表の事実を明確にし、その後に矛盾点について考えていきます。
・事実
以下は、今回の決定をした際の政府の資料のようです。
※インターネット上で政府の議事資料が見えるなんて知りませんでした。
第1回 中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ 議事次第 (kantei.go.jp)

今回のテーマの部分のみを抜粋すると
①手形サイトを60日にする(2024年までに)
②手形割引料を親事業者負担を進める
③割引率やファクタリングの手数料低減を進める
④約束手形から現金払い電子記録債権への移行
⑤約束手形の廃止(2026年までに)
というところです。
続いては、上の事実に対して疑問・矛盾している箇所をピックアップします
・疑問点・矛盾点
疑問1.“①手形サイトを60日にする(2024年までに)”
サイト短縮の強制力は無い? 本当に上手く浸透するのか?
今後発表されるのかもしれませんが、サイトの短縮は罰則等の強制力が無いと上手くいかないでしょう。
下請代金支払遅延等防止法で定められている手形サイトの基準は120日以内となっています。
が、実際は必ずしも守られてはいません。
“支払側はサイトの短縮=不利な変更”となるので、強制力がない現状では全企業の順守に至ることは無いでしょう。
疑問2.“②手形割引料を親事業者負担”
下請事業者の全てが割引をしているわけではないのに割引料を親事業者負担って、・・・基準は??
どの程度の企業が手形の割引をしているか調査不足で不明ですが、『手形の割引をしている事業所』『手形の取立をしている事業所』の見分けはどうするのでしょうか?
その各事業所に
『御社は割引をしているので、割引手数料を上乗せします』
『御社は取立をしているので、割引手数料はなしです』
と、対応しますか?
月によっては割引ではなく取立で大丈夫って事業所がいるかもしれません。
その場合はどうしますか? 毎月確認しますか?
非常に手間で効率が悪いです。
最終的には、値引交渉のネタに使われてしまいそうですね(直接的な値引理由として使うのはNGでしょうが・・・)
矛盾1.“④約束手形から現金払い電子記録債権への移行”
約束手形は廃止、電子記録債権は促進は完全に矛盾している
専門性の強いこの記事を見られている方は『電子記録債権とは・・・』の様な基本的な説明は不要と思いますので割愛します。
約束手形と電子記録債権は支払・資金化の面では何ら変わりありません。
ですが、一方は“サイトが平均100日程度かかるため廃止する”
他方はサイトは無視して“デジタル化歓迎!どんどん促進する。”
と、完全に矛盾しています。
まとめ (利益管理・税金管理をするための口実か?)
企業の利益管理・税金管理をするための口実ではないか?(※個人的予測です。)
今回は、ニュースサイトからの情報だけでなく、少し深掘りし、情報の発信元である政府の資料を見て疑問点・矛盾点をピックアップしてみました。
が、深掘りした結果、より疑問が深まり、今回の政策の目的がわからなくなってしまいました。
ここからは完全に『こうしたいのか?』という個人的な予測です(しかも飛躍しすぎてます)
現状、少しまとまった支払(多くは10万円以上)時に約束手形を使用します。
(『もっと高額でないと手形を使用しない』とか『金額によらず振込のみ』という業界があることは承知していますが、多くはというくくりで)
が、約束手形の様な紙ベースだと、『どこからどこへ』『いつ』『いくら』支払ったかをデータ管理するのは少し手間です。
しかし、“電子記録債権”という手形と似たシステムで、元々『どこからどこへ』『いつ』『いくら』支払ったというデータがまとまっているシステムがあれば、利用しない手はないですよね。
ただ、電子記録債権のデメリットは完全に浸透しきっていないこと
元々、約束手形という使い慣れている似たシステムがあれば、あえて電子記録債権に手を出さなくてもいい。とか、よく分からないから取り合えず今まで通り約束手形を使おう。と考える企業が一定程度はあるためでしょう。
電子記録債権のデータで一元管理をしたくとも、約束手形が一定程度残っていては、完全に管理しきれない。
電子記録債権に移行してもらうために、手形を廃止する理由付けをしたいが、『資金の流れを見える化』するためと大っぴらに言うと反発が大きいため、今回の手形サイトが長期間であり『下請・中小企業の資金繰りを助ける』という、名目で約束手形の廃止を行う。
→ 行く行くは、電子記録債権データの提示?閲覧?の認可を得る
→ 企業の資金の動きを把握する
→ 税金計算に違和感がある企業に税務署が査察に行く
→ 税金の取り逃しを少しでも削減する
・・・・・・・・というのはやはり飛躍しすぎですよね(笑)
約束手形は廃止、電子記録債権は促進という矛盾の中で、政府が『これによるメリットは何か?』『どんな可能性がある?』『本音と建前の“本音”部分は?』という、可能性の状態であって、確証があるわけではありません。
“そんな考えもあるんだね”程度で思ってください。